コレステロールにも重要な役割がある

コレステロールの役割世間一般では“コレステロールは健康を害するもの”といったイメージがありますが、それは大きな間違いです。コレステロールにも、きちんと体内での役割が存在していて、決してゼロになって良い物質ではないのです。

こちらでは“コレステロールが実際にはどのような物質なのか”を明らかにするとともに、コレステロールの悪い面、悪影響を受けないようにするための基礎知識をお届けします。健康維持の第一歩として、コレステロールの正しい知識を身につけましょう。

コレステロールの役割を解説

コレステロールというのは脂質の一種で、炭水化物、タンパク質などと同様に栄養素のひとつです。つまり、人体にとって必要な物質なのです。たとえば、脳の神経細胞をはじめ、体内の細胞を守るための膜を構成するための材料になるのがコレステロールです。

さらには、脂溶性ビタミンと呼ばれる種類のビタミンを活用するためにも、コレステロールが使われています。具体的には、視力維持に役立つビタミンA、活性酸素から身体を守るビタミンE、骨の健康を保つビタミンDなどが、コレステロールとの関連が深い脂溶性ビタミンです。
特にビタミンDは、日光を浴びることにより体内で合成される性質があるのですが、そのための原料としてコレステロールが必要になります。コレステロールから変化した物質である7-デヒドコレステロールに紫外線が作用することで、ビタミンDが合成されているのです。

他にも、男性ホルモン、女性ホルモンといった性ホルモンを合成する際にもコレステロールが用いられており、むしろ“コレステロールがなければ人間は生きられない”と表現したほうが正しいくらいなのです。

コレステロールの種類

コレステロールの種類コレステロールに善玉と悪玉が存在することは広く知られています。しかし、実は善玉と悪玉という区分けは目安であり、必ずしも正確な区分とは言えません。単に悪玉コレステロールがゼロになり、善玉が増えれば良いのかというと、そういうわけではないのです。

実はコレステロールには非常に多くの種類があり、それぞれに役割が異なっているので、一概に“どれが良くて、どれが悪い”と片付けられるものではないのです。ここでは、コレステロールの種類について詳しく見ていくことにしましょう。

そもそも、コレステロールというのは血液中にそのままの状態で存在しているわけではありません。アポタンパク質と呼ばれる種類のタンパク質と結合した状態になっているのです。このコレステロール+アポタンパクの結合物質をひっくるめてリポタンパクと呼びます。このリポタンパクという形になって、はじめて脂質であるコレステロールが血液中で安定的に存在できるのです。

そして、時に善玉、悪玉などと分けられるコレステロールの種別は、リポタンパクとなった際の大きさによって区別されています。

コレステロールの種別解説

1.高比重リポタンパク(High Density Lipoprotein /HDL)
これがいわゆる善玉コレステロールです。血液中に存在しており、体内のあちこちにあるコレステロールを肝臓へと運ぶのが本来の役割。要するに不要なコレステロールを回収するための存在です。血管の内側に溜まった悪玉コレステロールを除去して動脈硬化を防いでくれるので、高脂血症を防ぐために役立ちます。
2.低比重リポタンパク(Low Density Lipoprotein/LDL)
いわゆる悪玉コレステロールのことで、本来は肝臓にあるコレステロールを体内の各組織に運ぶための物質です。コレステロールは脂質の一種であり、細胞膜の材料になるなどの役割があります。要するに、必要な脂質を体内に運んでいるわけで、実は生きるために必要な物質のひとつ。ただ、運ぶ際にコレステロールの一部を血管壁に付着させてしまい、血管詰まりを起こさせてしまうため、動脈硬化、虚血性心疾患などの病気を誘発してしまう場合があります。これが、悪玉と呼ばれる理由なのです。低比重リポタンパクが増え過ぎるのは確かに問題なのですが、減りすぎたとしても健康を害してしまいます。
3.中間比重リポタンパク(Intermediate Density Lipoprotein/IDL)
中間的な比重のリポタンパクで、コレステロールと中性脂肪を持っていたリポタンパクが中性脂肪を失うと、この状態になります。あくまでの中性脂肪を失っていく途中の状態なので、この中間比重のまま長く存在することはありません。ただ、メタボリックシンドロームの方はリポタンパク質リパーゼ(LPL)という代謝酵素の活性が低下するため、このIDLが正常に代謝されなくなり、存在しつづける場合もあります。
4. 超低比重リポタンパク(Very Low Density Lipoprotein/VLDL)
非常に比重の低いリポタンパクです。コレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)を含有し、筋肉などの末端組織にエネルギー源となる脂質を供給します。
5. カイロミクロン
もっとも小さいリポタンパクの名称です。コレステロールと中性脂肪を含んでおり、腸で吸収した脂質を肝臓へと運んでいくのが役割です。

以上のように、一般にコレステロールと呼ばれている物質には多くの種類があり、単純に善玉、悪玉という区分だけで片付けられるものではないのです。健康維持のためには、コレステロールが本来必要な役割だけを果たしてくれるように、すべてのコレステロール値を正常範囲内へと持っていく…という考え方が必要です。

実際、疫学的な統計として、コレステロールが低すぎる人は脳卒中になりやすい…といったデータも出ています。これを機会に“コレステロールを下げるべき”という認識を改め“コレステロールを適正値にする”という正しい方針を理解するようにしましょう。

いわゆる悪玉コレステロールが増えすぎると…?

ここまで、コレステロールに関する知識を解説してきましたが、だからといって、一般に認識されている“悪玉コレステロールが増加すると健康を損なう”という認識が間違っているというわけではありません。

高コレステロール血症実際、血液中で悪玉コレステロールと呼ばれるLDL濃度が上昇すると、高コレステロール血症という状態に陥り、最終的には循環器疾患、冠動脈疾患の主原因であるアテローム性動脈硬化症を引き起こしてしまいます。

LDLは酸化してしまうと血管の動脈壁で炎症を起こし、さらにマクロファージを泡沫化して、血管詰まり(アテローム)を形成。動脈壁の柔軟性を失わせて、動脈硬化を促進してしまうのです。もはや万病の元といっても過言ではない動脈硬化を引き起こしてしまうことを鑑みれば、悪玉コレステロールを正常値に留めることは、中高年の健康維持を考える上で非常に優先度が高いと言えるでしょう。

まとめ〜コレステロールにも役割が存在する!

一般に“健康を害する原因”と認識されているコレステロールですが、脂質を身体の各所に運搬するといった重要な役割を持っており、単純に“有害物質であり、なくしてしまったほうが良い”というような物質ではないのです。

もちろん、一般に悪玉コレステロールと呼ばれているLDLが動脈硬化を引き起こす…というのは事実であり、注意が必要なことに変わりはないのですが、ただ闇雲に恐れるのではなく、コレステロールという物質について正しい知識を得ることが大切。この機会に、コレステロールという物質について知識を深め、その上で日々の健康維持について考えていくようにしましょう。

>>悪玉コレステロールについて

>>善玉コレステロールについて